「クソ重いのに、バカ速い」とは、まさにこの車のためにある言葉だろう。
ジープ グランドチェロキー トラックホークは、707馬力という圧倒的なパワーを誇る、アメ車SUVの最高峰。
その重量は、2.5トンを超える。しかし、その重量をものともせず、0-100km/h加速を3.5秒台で駆け抜ける。
超大国アメリカが生み出した、この狂気を刮目せよ!
グランドチェロキー トラックホークとは?
『グランドチェロキー トラックホーク』はジープが製造・販売するSUVで、フラッグシップであるグランドチェロキー(通称:グラチェロ)をベース車とした超特別なモデルです。
お値段は新車で約1300万円超という、ジープのラインナップで最も高価なモデルとなります。
2017年に初代が発売され、2023年現在は2代目が販売されています。
現行(2代目)グランドチェロキー トラックホーク

画像引用:MOTA
SUVというと、オフロードなどの悪路走破性の良さをアピールしたものが多いですが、このクルマの場合は一味違います。
このモデルの特徴は、ズバリ「オンロード(舗装路)での圧倒的な動力性能」です。
ノーマルのグランドチェロキーは、ジープの他車種よりもオンロード性能・居住性を高めた、いわばバランス型の高級モデルですが、トラックホークにおいてはバランスという概念は存在しません。
ノーマルのグラチェロをベースに、ただただパワーを追求した、マッスルカーならぬ「マッドネスカー(狂気のクルマ)」なのです。
エンジンパワーは710馬力というおバカっぷり!

画像引用:Jeepグランドチェロキー トラックホーク 0-200 (驚異の加速)
グランドチェロキー トラックホークのエンジンルームには「ヘルキャット」と名付けられた、6.2リットルV8スーパーチャージャー付きのパワーユニットがブチ込まれています。
このヘルキャットという名前は、第2次世界大戦中に優れた性能と強力な火力を誇ったアメリカ海軍の艦上戦闘機である「グラマンF6Fヘルキャット」に由来しています。ちなみにビ●チやア●ズレを意味するスラングだそうです。
6.2リッターという排気量だけでもかなりヤバいですが、そこにスーパーチャージャーで加給するという、アメリカ人が泣いて喜びそうなパワー至上主義を具現化した仕様となっています。

画像引用:JEEP GRANDCHEROKEE TRACKHAWK 飛び抜けてハイパワー!! 最強最速のSUVは712psの グランドチェロキー トラックホーク !? E-CarLife with 五味やすたか
このパワーユニットは6.2Lのヘミエンジンをベースに、クライスラーの高性能モデル開発チーム・SRTによるチューニングが極限まで施されており、そのパワーはなんと710ps/868Nm!
エンジン&トランスミッション概要
エンジン形式 | V型8気筒OHVスーパーチャージャー |
排気量 | 6,165cc |
最高出力 | 710ps(522kW)/6,000rpm |
最大トルク | 868Nm(88.5kgm)/4,800rpm |
変速機 | 強化型8速AT |
日本の軽自動車がMAX64馬力なので、この車の710馬力というパワーはその約11倍ということになります。
同じグランドチェロキーのノーマルモデルの290ps/347Nmと比べても、+240%以上もの馬力アップを遂げている魔改造モデルです。
当然、市販SUVでは世界最強の馬力を誇るモンスターマシンとなります。
ただし車重はクソ重い!
このクルマの車両重量はアメ車SUVらしく、2470kgとかなりのヘヴィー級です。
これは、トヨタのミニバン『シエンタ』の約2台分に相当します。
ノーマルのグラチェロが重いこともあり、一般的な乗用車に乗っている人からすれば嘘みたいな数字です。
車両重量の比較
車種 | 車両重量(kg) |
---|---|
ジープ・グランドチェロキー・トラックホーク | 2,470 |
ジープ・グランドチェロキー | 2,070〜 |
トヨタ・現行シエンタ | 1,270〜 |
当然のごとく、加速・最高速を除く走行性能はスポーツカーと比べると、かなり厳しいものがあります。
ノーマルから比べるとサスペンションやスタビライザーは相当ハードな設定にしているようですが、この重心の高いSUVでコーナーをガンガン攻めるのは相当の恐怖がつきまとうでしょう。
気になるのがブレーキ性能ですが、この巨体&パワーを受け止めるべくフロント6ピストン、リア4ピストンという、スーパーカー顔負けのブレンボ製大径ブレーキが装着されています。

画像引用:JEEP GRANDCHEROKEE TRACKHAWK 飛び抜けてハイパワー!! 最強最速のSUVは712psの グランドチェロキー トラックホーク !? E-CarLife with 五味やすたか
このブレーキの制動力もまた凄まじく、約100(96)km/hから停止するまでの制動距離は乾燥路で34.7mです。この数値は、並み居る高性能スポーツカー&GTセダンと同等といえます。
96-0km/h 制動距離の比較
車種 | 制動距離(m) |
---|---|
ジープ・グランドチェロキー・トラックホーク | 34.7 |
ポルシェ 911カレラS | 34.5 |
BMW M5 | 34.6 |
メルセデス・AMG GT 63 S | 34.7 |
アウディ RS 6 Avant | 34.8 |
よって、サーキット走行でも無い限り、フル加速〜急ブレーキしたとしても止まりきれずに1330万円をクラッシュさせてしまう心配はとりあえずなさそうです。
そもそもアクセルベタ踏みする勇気があればのハナシですが…。
スーパーカーもチギれるほどのぶっ飛び加速!

0-100km/h加速は3.7秒と、その怒涛のスペックはもはやSUVの枠を突き抜けています。
下に貼った動画を見てもらうとわかると思いますが、フル加速時においてはそのあまりの加速の速さに、デジタル式のスピードメーターの数字が目まぐるしく変わるため「一体、いま何キロ出ているのか」がよく分からないことになっています。
ちなみに最高速は290km/hとのこと。ヤバすぎです…。
Jeepグランドチェロキー トラックホーク 0-200 (驚異の加速)
タコメーター(エンジン回転計)の針もキュン!キュン!と鋭く動いており、高回転まで淀みなく吹け上がるピックアップの良さがあります。
OHVエンジンというと「古臭い」「高回転が弱い」というイメージがあるかもしれませんが、トラックホークのエンジンはそんな先入観をぶち壊すほどの強烈なインパクトがあります。
ちなみに3.7秒という数値は、日本が誇る芸術品『レクサス・LFA』と全く一緒の加速力です。
レクサスが2010年に限定500台で発表したスーパースポーツカー。トヨタの技術とノウハウを結集したフラッグシップモデルであり、当時の市販車としては世界屈指の性能と品質を誇った。

4.8L V型10気筒エンジンを搭載し、最高出力560馬力、最大トルク480Nm、最高速度は330km/hと、日本車では圧倒的なパワーを誇る。
さらには、映画007(ダブル・オー・セブン)で主人公ジェームス・ボンドの愛車としても有名な、英国高級スポーツカーメーカーであるアストンマーティンの『DB11 V8(2017年モデル)』の加速を上回るようです。

このほか、一世代前のフェラーリやランボルギーニ、ポルシェなどといったスーパーカーは軒並み、グランドチェロキートラックホークの後塵を拝すことになるでしょう。
車種 | 年式 | 0-100km/h加速 |
---|---|---|
トラックホーク | 2017年 | 3.7秒 |
アストンマーティンDB11 V8 | 2017年 | 4.0秒 |
フェラーリF430 | 2004年 | 4.0秒 |
ポルシェ911 カレラ | 2019年 | 4.2秒 |
何より驚異的なのは、このクルマはそれらのスーパーカーよりも700〜1000kgほども重いという事実です。
例えるなら、アルファードにフル乗車した状態で、アストンマーティンとの加速勝負に勝てるほどの常軌を逸したパワーを誇るというワケです。
外見も反●並みの圧倒的威圧感!

中身だけではなく、エクステリア(外装)もかなり凶暴な顔つきをしています。
このデザインには「優しさ」「可愛らしさ」といった要素は皆無で、迂闊に触ると噛みつかれそうな威圧感を醸し出しています。
これがもし人間だったら「あれ、私何か怒らせるようなこと言いました?」と問いたくなるような、睨みの効いたフロントフェイスです。
加えて車両寸法は全長4890×全幅1980×全高1800mmと、アメリカの広大な大地を象徴するかのようなジャンボサイズです。
世間の認知度はあまり高くないため、「得体の知れないナニカ」感も半端ないです。よって、コレが後ろを走っていたら多くの車両は道を開けてくれることでしょう。

アイアンマン的なメカっぽさもあるため、野郎(男)であればこのデザインの魔力に抗うことはできないハズ!
あとがき

画像引用:MOTA
男の憧れをカタチにしたような『グランドチェロキー トラックホーク』ですが、コレを所有するのは容易ではありません。
所有するには、チャンネーよりも金が掛かると覚悟しておきましょう。
排気量は6リッターを超えているため、自動車税制上のMAXである11万円を毎年収めなければなりません。
当然エコとは真逆の存在で、プレミアムガソリン(ハイオク)をガブガブ飲みながらその重いボディを走らせます。
街乗りでの実燃費は4km/L前後らしいので、93リットルの燃料タンクを満タンにしても約372kmほどしか走ることができません。
プリウスであれば同じ量のレギュラーガソリンで約2000kmは走行できるでしょう。ちなみにトラックホークの燃料タンクを満タンにするには、1回につき2万円弱掛かります。
タイヤも295/45ZR20というゴッツイ奴が装着されているので、タイヤ交換する場合は約25万円前後の出費を覚悟しなければなりません。スタッドレスタイヤも合わせると、さらに倍率ドンです。
このほか、エンジンオイルやブレーキパッドなどもスペシャルなものが用いられるため、メンテの都度諭吉が飛び去っていきます。
また、ボディの大きさは日本の道路には全く合っていませんので、市街地でのすれ違いや、コインパーキングに停める時に毎回苦労すること必至です。
救いがあるとすれば、中古車市場ではプレミアが付いていないため、新車価格からすればお手頃で購入することが出来るくらいでしょうか。
あなたがもし、クルマにデカさとパワーを求めるマッドネス野郎であれば、ジープのグランドチェロキー トラックホークは最高の選択肢といえるかもしれません。

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